1.22.2019

Labyrinth Collection No.2~アユタヤ県のビッタータ~


当連載2つ目の記事は先日タイにて採集したクローキンググラミー(Trichopsis vittata)についてのレポートをお届けしたいと思う。 タイ遠征では数か所で採集したが、今回はアユタヤ県にて採集した個体群に関しての記録である。

当種について


今回も対象種の簡単な解説からさせていただく。
当種はタイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアなど東南アジアに広く生息するオスフロネムス科Osphronemidae ゴクラクギョ亜科 Macropodinae トリコプシス属Trichopsisに分類されるバブルネストビルダーである。
名前の通り威嚇音を出すことが知られている。アクアリウムの世界では古くから親しまれてきたアナバスである。
生息域の広さと止水に生息することから地域によって形態に大きな差異がみられるが、(残念なことに)アクアリウムの世界でそれらの個体群間の変異が注目されることはない。


Trichopsis vittataの採集

2018年11月某日、私はタイ王国アユタヤ県を訪れた。
本来の目的はベタ・スプレンデンス(Betta splendens)の採集であったが、残念ながら同県においてスプレンデンスを採集することは出来なかった。 しかし、帰りがけに寄った小さな止水域で当種に出会うことができた。
前回のホンコンパラダイスフィッシュ(M.hongkongensis)の時とは違い「いかにもアナバスがいそう」といった雰囲気のポイントで採集できた。 

 写真からも分かるようにゴミなどが浮いており、お世辞にも綺麗とは言えない環境である。
同所的に採集できた魚はスリースポットグラミー(Trichopodus trichopterus)のみで、餌となる生物も非常に少なそうな印象をうけたが、個体数は当種が圧倒的に多かった。
タイにおいては「アナバスのいそうな水辺」にはほぼ確実に当種が確認でき、いずれも個体数が非常に多かった。
このことから当種は環境に対する適応能力が非常に高いものと思われる。


Trichopsis vittata当種の変異について

今回タイの4県で当種を確認したが、それぞれの個体群間でかなりの変異がみられた。

  今回のアユタヤ県の個体群は尾鰭中央の鰭条のみが伸長する興味深い表現をしていた。




 帰国後に撮影した本個体群の♂。
尾鰭中央の鰭条は溶けてしまったが、大変美しい色をしている。
大きさは当種としては標準的な大きさであると感じた。(今回確認した4個体群間での比較) 残りの個体群に関しては色々な事情があるので、後日記事にできればと思っている。

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