7.09.2019

業界に思うことと横浜闘魚庵

こんにちは。けんごです。
今回はとあるきっかけから久しぶりにブログを書いております。

多分初めての方もご覧になりますし、初めての方にもご覧いただきたいと強く願っていますので、簡単に僕の自己紹介をさせていただきたいと思います。 

自己紹介

改めまして、けんごと申します。
 熱帯性淡水魚、中でもアナバンティッドの仲間が大好きで、アジアの色々な地域を訪ねて自分の手でアナバンティッドを採集しています。
その片手間といってはなんですが、採集した個体や買い付けた個体を輸入して販売するセレクトショップ「横浜闘魚庵」を運営しております。

夢はアナバンティッドの記載種(約150種)すべてに現地で出会い、それらを自分の手で繁殖させて 「世界一のCBアナバンティッド専門店」を作ることです。
あまりにもスケールが大きすぎてバカバカしい話に思われるでしょうが僕自身は本気で実現したいと思っています。

今回お話ししたいこと

僕は普段お店の宣伝にTwitterを使っています。
個人的にも使用しているので結構な時間をTwitterを見て過ごしているのですが、
先日約7000本のブセをハンターに依頼して採集させたという旨のツイートを見かけました。

これを見た僕は絶句してしまいました。 ここで記載されている「ブセ」とは「ブセファランドラ(Bucephalandra)」のことです(これは同ツイートのツリーに投稿されていたパッキングリストにも記載がありますので間違いありません)

恐らくアクアリウムを楽しまれている方なら一度は聞いたことのある名前だと思います。
どんな植物なのかということは今回問題ではありませんので、興味のある方はググってください。

このブセファランドラ、ここ数年アクアリウムの世界で非常に人気が高く、現地採集の株が大量に輸入されてきました。
成長が遅く、殖やすよりも採ってしまった方が早いので人の入りやすい場所にあるブセファランドラは輸出用に大量に採集されました。

次々に輸入される魅力的なブセファランドラ、消費者はそれを喜んで購入しました。
その結果なにが起こったと思いますか?

こちらはブセファランドラの自生地のついて書かれているブログです。
https://pokoujiaz.exblog.jp/22898923/
https://teamborneo.at.webry.info/201505/article_4.html

このように次々と自生地が壊滅しています。
これで大方ブセファランドラという植物を取り巻く現状は理解して頂けたかと思います。
※ブセファランドラを保護するために努力をされている日本の業者さんもおられます。(現地の方たちに資源を残すための採集方法を伝えたりなど、植物も含めて皆に優しい取り組みです。)

さて、冒頭のツイートのお話に戻りましょう。
当該ツイートをしているお店はその貴重なブセファランドラをあろうことか現地採集で約7000株も輸入し、しかも「販売先が決まっていないので捨て値でバラまくかも」とも。
しかも現地採集株であることを誇らしげに語っているようにも感じます。

他にも日本のイモリやサンショウウオを大量に採集して販売していた爬虫類ショップの話なども最近Twitterを騒がせましたね。

環境保護に関する意識は年々高まっていると思いますが、それでもペット業界はまだまだ遅れているというのが現状です。

いつまでそれでやっていくの?

僕はかれこれ15年ほどアクアリウムという趣味にハマっています。
学生の頃はワイルド個体に心酔したこともありました。
だから偉そうなことは言えません。僕も昔はそういう方針に無自覚に資金を与えていましたから。

大人になった僕は現地に行って自分の五感で色々なことを感じました。
素晴らしい生き物や素晴らしい自然環境からたくさんの感動をもらいました。
そういう感動や経験をこれからも多くの人が自由に感じることのできる世界であってほしいと思っています。

だからこそ今皆さんにお聞きしたいです。一緒に考えて欲しいです。
今回僕がお話したいのは「これでいいのか?」ってことなんです。


自然資源をいたずらに消費するだけの流通形態でいつまでやっていけるんですか?

現地で規制されてしまったらこれから飼育したい人はどうすればいいんでしょう?密漁ですか?密輸ですか?どうせなら大手を振って飼育したいですよね?

絶滅してしまったら?その種類の供給源が完全に断たれてしまったら愛好家の皆さんはどうするんですか?僕たちの住むこの世界から自分の好きな、誰かの好きな生物種が消えてしまったら凄く悲しくないですか?

採れる数が減ったら採集者もいなくなりますよね?そのときはどうしますか?自分で採りに行くんですか?野犬に噛まれて死ぬのが関の山ですよ? 

お店や問屋さんは扱える種類がこれ以上減っても商売を継続できますか? 

これは「業者の問題」でも「消費者の問題」でも「遠い異国の水辺の問題」でもありません。
「ペットトレード」という業態に関わる全ての人が考えていかなければいけない問題であると思っています。

晒し上げたい訳ではないので、今回の件のお店がどこなのか公開したりはしません。(個人感情でいえば非常に頭に来ていますが)
これが現地の環境を考える上でなにかのきっかけになればと思っています。

現在の横浜闘魚庵

僕は冒頭の自己紹介で「世界一のCBアナバンティッド専門店を作りたい」と述べました。これは本気です。欠片も嘘偽りはありません。誰かのためじゃなく、自分のために自分の好きなものを保存したいのです。(その結果で他の誰かも幸せになってくれるのであれば最高です)

僕は「野生採集個体の流通は減らすべきだ」と思っていますし、主張もしていますが当然一人でそんな大きなことを成せるなどと思いあがっているわけではありません。
僕一人でできることなどたかが知れています。

その中で自分が一番守りたい、残していきたいものは何なのだろう?と自問したときに残ったのがアナバンティッドでした。
だからそれだけは守りたいのです。自分の力でできる範囲のことをしていきたいのです。

現在、僕が行っている活動ですがざっくりと下記のようになっております。


  • 改良アナバンティッドの買い付けと販売
  • 原種アナバンティッドの買い付けと販売
  • 自家繁殖用の種親の採集
  • 自家繁殖用の種親の輸入
  • 自家繁殖による系統維持



原種を買い付ける場合は可能な限り現地ブリーダーの繁殖個体を買っています。(資源保護の他にも「単純に繁殖個体の方が綺麗」という面もあります。笑)

また、自家採集については種親と余剰分(保険)として計10ペアまでと決めて現地の個体数を見ながら輸入量を調整しています。(自分だけで持つよりは他の人にも飼育していただいた方が成功率は格段に上がりますので、数ペアは販売という形で頒布しています。) 

種親の輸入ですが、こちらは現在現地の漁師さんと話を進めておりまして、様々な種類を各種1~5ペアの範囲で輸入して自家用と頒布用で振り分けたいと思っています。
本当は自分ですべて採集したいのですが、ボルネオ島などの現状を考えると事態は切迫していますので、現地の漁師さんの力を借りて魚を集めることに致しました。

系統維持に関しては現在数種類自家採集自家繁殖にて維持している系統がございます。 
これらも近親交配などのリスクを考え、野外採集に頼ることなく系統維持をするために頒布をする予定でございます。 

このような形で現在活動をしております。 
今後のことに関しては宣伝じみてしまうのでこの記事では記載いたしませんが、色々な生き物のCB化に貢献できる活動をしていければと考えております。

多分この記事にも様々なご批判やご意見等お持ちのことと存じますが、全て覚悟の上です。 
今の業界のやり方には賛同できません。僕は僕が正しいと思うことをやります。 
自分が変わって周りの人が変わって少しずつ流通の仕組みが変わったら素敵だなと思っています。

つまらない話を長々と失礼いたしました。 
ご意見等は僕のTwitterアカウントにDMいただけますと幸いでございます。 

それでは。

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